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最終更新日 2008年03月19日
2008年2月14日(木)--2月16日(土), 3月17日(月)--3月19日(水)
東北大学 理学部 数理科学記念館(川井ホール)
ポスター(jpeg 194k) | 印刷用プログラム(pdf 15k) |
スプリングスクール2008は, 無事終了致しました. 御参加頂いた皆様に感謝申しあげます.
自然科学に現れる数学的に定式化された多種多様な非線形問題は, 長い歴史を持ち, 近年もその研究は進展を続けている. 他分野とともに遂げてきた目覚しい発展のなかで, 多岐にわたる解析手法が開発・発見されてきた. 一方, その膨大さ故の「とっつきにくさ」は否めず, 初学者が指針なく独学で専門分野以外に目をむけ成果を得ることは決して容易ではない.
そこで, 非線形解析の解析手法の中で, 実解析学, 偏微分方程式論, 現象論解析, 変分法という各分野において第一線で活躍されている研究者四名による講義形式の講演により,「非線形問題の数学解析」を多角的視点から捉えるとともに, 幅広い基礎知識の習得を目指す.
日時: | 2008年2月14日(木)--2月16日(土), 3月17日(月)--3月19日(水) |
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場所: | 東北大学 理学部 数理科学記念館(川井ホール) |
会場へのアクセスについては数学教室への交通 を御覧下さい.
参加に際し, 申込等は必要ありません. 当日, 直接会場におこしください. なお,
会場の定員は80名となっております.
参加資格はとくにありません. なお, 各講演は学部四年生以上を対象としています.
石渡 哲哉 氏 (岐阜大) | クリスタライン運動について 〜平面上の多角形の運動の解析〜 |
水と油のように2つの異なる物質を隔てる境界面や, 水と氷の相転移面など, 2つの状態を隔てる境界を界面という. 界面の運動は, 界面そのものがもつ情報(例えば, 界面の形状や囲む領域の広さ)だけでモデル化される場合と, 界面の外部あるいは内部の影響も考慮すべき場合とがある. 前者の数理モデルの例としては, 結晶粒界の動きをモデル化した曲率流方程式があり, 後者ではステファン問題がよく知られている. 本講義では, 前者の範疇に入るモデルとして, クリスタライン曲率に依存した運動を扱う. 特に, 界面の法線方向の移動速度が, クリスタライン曲率やその冪乗に比例するもののみ扱い, 平面上の多角形曲線に対象を限定してその挙動を考える. 講義の内容は以下を予定している:
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石渡 通徳 氏 (室蘭工業大) | 変分解析入門 |
本チュートリアルでは変分法に関する入門的な講義を行なう. 変分法は(解析にとどまらない) 多くの数学的問題に有効な強力なツールである一方で, それ自身が数学的な研究の対象となってきた. 本講ではこの二つの側面を念頭に置きつつ, 変分法の非線形楕円型方程式の解の存在への応用を扱う. 具体的な計画は以下のとおりである.
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小林 政晴 氏 (東京理科大) | Modulation空間とその応用について |
Modulation空間とそれに関連した幾つかの話題を紹介する. Modulation空間は1980年頃Feichtingerにより導入されたユークリッド空間上の函数空間の1つである. 定義そのものは非常に単純ではあるが, 最近のGroechenig, Heil, Toftらによる擬微分作用素への応用, Wang, Cordero, Benyi, Okoudjouらによる非線形偏微分方程式への応用, Palamodovによる数値解析への応用を意識した研究からもわかるように大きな可能性を持った函数空間の1つである. ここでは, modulation空間の定義と基本性質, 様々な空間(L^p空間, Sobolev空間, Besov空間など)との包含関係や応用に関するその幾つかの話題について紹介する. また, modulation空間やBesov空間の拡張であるα-modulation空間についても紹介したい. | |
瀬片 純市 氏 (福岡教育大) | 非線形Schr\"odinger方程式の長距離散乱理論について |
1次元3次及び2次元2次の非線形項を持つSchrodinger方程式は物理学など多くの分野で現れ, その解の長時間挙動を調べることは非常に重要である. しかしながら, 次元が低く非線形項の冪が小さいということで非線形項の時間減衰が悪く, 解の長時間挙動を捉えるのは容易ではない. そのためにさまざまな工夫を要するのであるが, 本講演では非線形項がgauge不変性という性質を持つ場合と持たない場合とに分け, 方程式の解の挙動がそれぞれどのようになるのか解説を試みたい. gauge不変な非線形項をもつ場合は, 解は線形Schrodinger方程式の解に修正項を加えた形の関数に収束するが, どのように修正を加えればよいのかをOzawaの方法にしたがって説明する. gauge不変でない非線形項の場合は, 非線形項の形により解が線形Schrodinger方程式の解に近づく場合と近づかない場合があるが, これらのメカニズムをMoriyama-Tonegawa-Tsutsumi, Shimomura-Tsutsumiの論文にしたがって分析する. 時間があれば, 高階の非線形分散型方程式の解の長時間挙動についても触れたい. |
2月14日(木) | 2月15日(金) | 2月16日(土) | |
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Lecture I 13:30--15:00 |
瀬片 純市 I | 瀬片 純市 II | 瀬片 純市 III |
Lecture II 15:30--17:00 |
石渡 通徳 I | 石渡 通徳 II | 石渡 通徳 III |
3月17日(月) | 3月18日(火) | 3月19日(水) | |
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Lecture I 13:30--15:00 |
石渡 哲哉 I | 石渡 哲哉 III | 小林 政晴 II |
Lecture II 15:30--17:00 |
石渡 哲哉 II | 小林 政晴 I | 小林 政晴 III |
この研究集会は
大学院GP「理学の実践と応用を志す先端的科学者の養成」
の援助によるものです.